白井聡先生講演要旨
<今なぜ政権交代が必要なのか> 令和6年4月
第1、政権交代のために生命をかけろ
1、まず第一に、なんのためにこの会があるのか、
なんのために政権交代が必要なのかが明確にされる必要がある。
2、日本の歴史は(明治維新から終戦までの)戦前が77年、戦後から今日までが78年となった。
安倍(元総理)は、戦後レジームからの脱却、などという訳の分からないことを言っていたが、
2009年(成立)の民主党政権には、戦後(日本の)危機に立ち向かう本格的政治が求められていたが、
戦後を保守していた勢力からの猛攻撃により、訳の分からないものになってしまった。
その反作用として、以前にも増して強固な自民党政権が出来てしまった。
そのことを許した民主党には重い責任があるが、とりわけ、菅、仙谷はA級戦犯とも言える。
3、2012年に成立した安倍政権は、その後安倍一強体制を構築したが、これは「55年体制」に代わる「2012年体制」とも言える。
それは、戦後日本のウミ(膿)の塊のようであるが、その体制は安倍が退陣しても変わらない。
安倍の後を継いだ菅に代わって、(穏健派)宏池会の岸田が総理になったが、結局は安倍の敷いた米従属の大軍拡路線を継承し、敵基地攻撃能力の強化、容認、米軍と自衛隊の一体化、先に数字ありきの軍事費予算2パーセントへの拡大等、アメリカのための軍拡路線と増税路線を走っている。
4、このような岸田政権の下で、今や日中戦争の可能性が現実になりつつある。
日本の最大の貿易相手国であり、日本国民が生活上全面的に依存している中国との戦争が現実化すれば、たちどころに国民の生活が崩壊することは目に見えている。
従って、日本がアメリカに唆されて他国と戦争をすることは、絶対にやってはいけないことである。
私たちとしては、知性をもって、このような愚かな戦争をやめさせるために先手をとらなくてはならない。
5、日本は閣議によって先守防衛(打たれる前に打つ)を認めたが、相手方が打とうとしていることがなぜ分かるのか?
相手が打とうとしているかどうかは、すべてアメリカの判断と証拠によって決められることになる。
アメリカはもはや、世界各地に自国の軍隊を派兵できる状態ではないため、代わりに日本に戦わせたい。
日本の防衛三原則は、米中対決の中で、日本をアメリカの尖兵として戦わせるための手段である。
このような防衛費の増大、敵基地攻撃能力の増大、容認は、元々安倍が唱えたことであるが、それは高市(早苗)に引き継がれ、今や岸田(政権)がこれを受け継いでいる。
高市がタカ派で、岸田がハト派(宏池会)などといっても、結局のところ、3人ともがアメリカの操り人形にすぎず、3人いるように見えて、実は1人もいないようなものである。
6、日本では、いつまでも戦後から脱却できずにいるが、世界は冷戦がとっくに終わっており、今や近代の大航海時代以来の地殻変動が起きている。ロシア・ウクライナ戦争は正にその象徴である。
ロシアに対する経済制裁に参加しているのは、ヨーロッパの大半の国々、北米2国(アメリカ、カナダ)、豪州、ニュージーランド、日本、韓国、台湾、シンガポール等の、いわゆる先進国である。
しかし、アフリカ、中東、中南米などの発展途上国は殆どロシアの制裁に参加していない。
そのことは、アメリカやヨーロッパが、これまでアフリカ、中南米、中東などで行なってきたこと(侵略、政府転覆など)と対ロシア制裁が二重スタンダードであるとして厳しく批判されていることによる。
アメリカ対(世界最大の経済力を有する)中国は、ロシア寄りの中立を保っている。
そのことから、ウクライナ・ロシア戦争は、G7対グローバル体制サウスという構図の戦争となってきた。
このような世界情勢の中で、もはや先進国が発展途上国を搾取することが出来にくくなっている。
それと共に「北」の優位、「南」の劣位という図式が変わってきている。
大航海時代から500年単位で地球の秩序が変わってきており、これからはグローバル南北戦争の時代が始まる。
ロシア・ウクライナ戦争が飛び火し、パレスチナ・イスラエル戦争が勃発したが、グローバル南北戦争が東アジアに点火するかどうかは重大問題である。
このような事態を回避するためにも、政権交代は必要である。
7、アメリカによる世界の一極支配の構図が崩壊しつつある現在、アメリカは益々タチが悪くなっている。
一方で、アメリカの中東での盟友であったサウジアラビアがアメリカに離反し、中国の仲介によって仇敵イランと国交回復を行なった。
そんな中で、日本の戦後の国体(アメリカの対日支配、日本の従属)が、岸田政権による軍拡政策で、恐ろしい状況になっている。
日米安保条約の締結に先立って、アメリカのダレス長官は「日本に、アメリカが望むだけの軍隊を、望む場所と望むだけの期間駐留できる権利を獲得したい」と述べ、事実そのとおりの日米安保条約が成立した。
そして、岸田政権による軍拡の目標は「アメリカが日本に望むだけの軍事力を持たせ、望むだけの場所と時間を確保し、望むだけ戦わせる」ことである。
8、日本の憲法秩序は、日本国憲法の上に日米安保条約に基づく日米地位協定があり、その上に日米安保条約がある、という図式になっている。
日本人は、このような法秩序のためにアメリカをかつての天皇のように仰いで、アメリカのために死ぬことを目的に生きているのであろうか。
そのようなおぞましい事態を回避するためにこそ政権交代をし、日本の国の独立のために生命をかけられる政治勢力を結集し、政権を構築する必要がある。
異常な対米従属は、日本人の精神を蝕んでいるが、それを止めることで、精神的に向上し、呼吸が楽になる。
そのためには、文字どおり、日本の独立のために生命をかけられる政治家が、政治勢力が、結集しなくてはならない。
第2、官僚機構破壊のための生命をかけろ
1、現在、私たちの日常生活が、労働力不足のために、普通のサービスが受けられない状況になっている。
少子化対策を真面目にやらないといけない状況なのに、岸田政権は「異次元」対策とか言って、まともに向き合っていない。
子供が何人いようと、収入からはまったく控除がなされない仕組みになっている。
民主党政権の時、子供手当を支給したため、扶養控除が無くなったが、その後自民党政権になって子供手当は無くなったものの、扶養控除は復活していない。
今、子供の扶養控除を主張しているのは国民民主党だけで、共産党もそのことを言っていない。
子供は、経済的に自立していないので、誰かが養わねばならず、そのコストがかかる。にもかかわらず、そのコストを国が負担しないということは、この世界(国)が存続しなくても良い、ということになる。まさに原理原則の問題である。
2、人口問題とコインの裏表になるのが、医療、社会福祉の問題である。
これについて、現役(若手)の世代は、打ち出の小槌のように扱われている。当然人口は減少する。
これを抜本的に改革しなければならないが、そのためには、行政、政治の改革が必要である。
しかし、それを阻んでいるのは、自分たちはエリートであると勘違いしている役所、その親玉である財務省である。
ただし、財務省を改革することなど無理なことで、破壊しなくてはいけない。
民主党政権は、国家戦略局をつくり、それを狙ったが、肝心の財務省主計局の解体をしなかった。
(民主党政権瓦解の)反動で、官僚の権力が巻き返し、強固な官僚支配、官僚主導の政治になった。
3、今や匿名の官僚機構の意思が、極めて強力に完結している政治になってしまったため、これを徹底的に破壊しなければいけない。
多分、本当に生命をかけることになる人が出てくるだろう、という危険な仕事になるだろう。
しかし、今まさにそれが求められている。それを出来る集団を作ること、その集団で政治権力を奪取すること、それこそが政権交代をすることの真の意味である。
この会がその原動力となるような集まりとなって頂きたい。
一票一揆です。投票率がアップすれば山は動きます。山が動けば政権交代です。
政治に関心を持ってもらうにはフェイスツーフェイスでNHK日曜討論を見て、国会中継を見てを喧伝することです。
併せて憲法を読んでもらうことです。