<政権交代とはどのようなことか>
小沢一郎議員を支援する会
代表世話人 伊東 章
1、何故政権交代は必要か
(1) 「権力は腐敗する」と言われます。
特定の者、集団が長期間権力の座を独占している状態
(日本を初め多くの国の政治に同様の現象が見られます)は、
即ちそれに反対する政治勢力が弱いことを意味します。
独裁者に反対する勢力が弱ければ、(多くの場合)独裁者とそのとり巻きにとって利益になる、都合の良い政治が行なわれがちになるのは当然です。
2012年からほぼ10年にわたり日本の政治支配者であった安倍晋三が、森友学園、加計学園、桜を見る会などで自分の仲間内だけに利益となるような政策を次々と実現したことは、その最たるものです。
先進諸外国のように頻繁に政治指導者が交代する体制の下では、指導者が自分とその仲間にだけ有利な政治を行なうことは遙かに困難を伴ないます。
(2) 又、目に見える財産だけではなく、国が有する膨大な情報も又、国民にとっては、カネや物以上に重要な国民の財産です。
これも、政治権力が次々と変更する社会では、一部の特権階級が、これを独占し、国民の目から覆い隠すことは困難です。
(3) このような理由から、国の政治権力が交代せず、長期間特定の者、集団が富や情報を独占し易い長期政権の存在は、民主主義国家にあっては許し難いものなのです。
政権交代をする必要性、政権交代をし易い政治状況を実現する必要性は、民主主義政治にとって最も重要なことが、以上の理由からも明らかです。
2、何のために政権交代をするのか
(1) 政権交代をすることによって、政治の有り方を透明なものにし、風通しを良くすることが民主主義政治に欠かせないことであるとしても、それでは、どのような政権に交代する必要があるのでしょうか。
仮に独裁政治であっても、それがすべての国民にとって平和かつ幸福で豊かな生活を保障してくれるものであれば、別に政権交代をする必要もありません。
しかし、現実には、そのような理想的政治は、今のところ期待することが困難です。
そのため私達は、よりベターな政治を求めて民主主義制度を採用したわけです。
民主主義制度の利点は、間違った考え方、間違った政策が横行し、国民を不幸にしている時は、これと異なる、より良い政治を選択できる、ということです。
つまり、今有る政治よりも良い政治を実現するために、政権を交代するのであって、今より更にひどい政治にするために政権を交代する必要はないのです。
(2) 同じ野党の中にも、その目的、政治手法において自公政権を支える党よりも遙かに反動的で、反民主主義的な政党があります。
政権交代が必要であるからと言って、このような現在の政権政党よりも反動的、反民主主義的な政党による政権交代を私達が目的とすることはありません。
そのことだけは、何があっても絶対に押さえておかなくてはなりません。
3、政治権力とは何か
(1) 国の政治というものは、それぞれの国が代表者(大統領、首相等)を決め、それが国の仕事を行なう役人を使って、内政と外交問題を扱うという形で行なわれています。
国の代表者は、何らかの団体(主として政党)から選出され、その団体の方針、意向、思想に従って国の政治に関わるため、その選出母体(政党)が実際にはその国の政治を動かしていることになります。
但し、政党も、それぞれが支持母体(業界、労働組合等)を有していて、その支持母体の考え方が政党を事実上支配しているため、厳密には、それぞれの支持母体の利益に基いて政治が行なわれている、と言えます。
(2) 日本では、議院内閣制という制度がとられているため、衆議院選挙で過半数を得た政党が内閣を組織し、政権を獲得します。
従って、総選挙で勝利すれば、一応は政治権力を握ったことになります。
しかし、前述のとおり、政治権力を支える基盤は、各政党を支える支持団体(財界、労働組合、各種社会団体等)あるいは、実際の政治実務を司る国、地方の官僚組織、国民に広く情報を伝えるマスメディア等々です。
いかに総選挙で勝利したからといって、その政党やリーダーが思い通りの政治をできるなどという単純なものではありません。
前述の各政党の支持基盤となっている無数の組織が実質上の政治権力を握っている以上、これらの組織を含めて掌握しない限り、安定した政治権力を獲得することはできません。
2009年に民主党が総選挙で勝利して政権を獲得したものの、僅か3年間でこれを奪い返されたのは、これら権力の支持基盤となる官僚組織等の団体を広く掌握し切れなかったことが原因です。
政治権力というのは、国会内における多数派だけでなく、それを支える多くの社会的権力をも含むものなので、1回だけ総選挙に勝つだけでは、政治権力を100パーセント掌握することは出来ないのです。
しかし、まずは、選挙という合法的手段によって国会(立法府)の多数派を形成することが政治権力獲得の第一歩ということになるので、とにかく、選挙によって多数派を形成しなくては始まらないのです。
(3) その上で、獲得した政権を支えるために、社会のあらゆる団体(と言っても、絶対的に国民の権力に反対する勢力(=財界、米国等々)に対しては、引き続き闘っていく必要があります)を新しい政権の支持母体に変えてゆくための努力を続ける必要があります。
それとともに、自分達が交替させた政権が、腐敗、堕落し、国民に対して逆に牙をむいてくることがないように監視、監督をし続けることも欠かせません。
このように、民主主義体制を築き、これを守り抜くためには、国民の不断の努力が必要なのです。
一度だけ総選挙で勝てば、それですべてが良くなる、というわけにはいかないのです。
(4) とは言え、現在の腐敗、堕落した政治状況を変え、国の政策、国民の生活をまともなものにしてゆくためには、とに角一度政権交代をしなくてはなりません。
今やその機は十分に熟しているのですから、あとは、それぞれの野党、政治家が、いかに真剣にそのための努力をするかだけです。